所長からのメッセージ

当事務所では季刊誌「TOMONI」を年2回発行しています。その中の「らしん盤」コーナーに所長からのメッセージーが掲載されます。

ツバメ雑感(第66号 2017.7.1発行)

 事務所の玄関脇に掛けられたツバメの巣がカラス?の襲来に遭い二つとも壊されてしまいました。

 以前から田植えの頃になるとツバメが玄関の周囲を飛び回り営巣の好適地を探していたので、昨春にかねなか金物店の古畑社長にお願いし、私の設計図?を基にツバメ用の営巣装置を作ってもらいました。残念ながらツバメに気に入ってもらえず、装置での巣作りは中途で放棄されてしまいましたが、代わりに近くにあったステンドグラス照明用のスポットライトに巣を作りヒナを誕生させてくれました。

 営巣装置の思わぬ効果に気を取り直し、今年こそ本体に巣作りができるよう設置場所を変更しよと思っていた矢先に巣作りが始まりました。スポットライトの巣にも入居者が決まり二か所での巣作りは順調に進みました。

 五月の月曜日の朝、出勤した職員が目にしたのは無残にも半分ほどに壊された巣と、糞の受け皿用に真下においたバットに散らばった残骸でした。普段は日中、人の出入りの多い玄関ですが週末は人気が無くなりカラスや野良猫の恰好の標的になってしまったのでしょう。幸いスポットライトの方はヒナも誕生し、親鳥がせっせと餌を運んでいる様子に憤まんやるかたない気持ちが和らぎました。

 ところが、数日後こともあろうにスポットライトの巣も壊されてしまったのです。こちらは猫が近づける場所ではないため、カラスの仕業だと思われます。巣には卵はなくヒナを襲ったのですが今更ながらカラスの貪欲さに感心するやら腹が立ちました。

 人以外の生き物は自身の生存本能を満たすために弱いものに手を出します。生き抜くためにはリスクが少なく容易なのでそのことでカラスを責めることはできません。弱いものを守るという崇高な気持ちを持ち、行動できるのが人なのに、近年は人の集団(企業や団体)がカラスと同じような行動で必要以上に自分の生存本能を強調し弱いものを食い物にして成長しているように思えます。

 ところでカラスの襲来を防ぐ手立てをご存知の方、お知恵を拝借したいのですが。


平成29年度税制改正            (第65号 2017.1.31発行)

 昨年、12月22日に平成29年度税制改正大綱が閣議決定され本年4月から施行される予定となりました。大綱の概要には我が国経済の成長力の底上げのため、

1.就業調整を意識しなくても済む仕組みを構築する観点から  

  配偶者控除・配偶者特別控除の見直しを行う。

2.経済の好環境を促す観点から研究開発税制及び所得拡大税

  制の見直しや中小企業向け設備投資促進税制の拡充等を行

  う。

 として一番目に配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しを掲げました。

 配偶者控除とは、妻(夫)の合計所得が38万円(給与で103万円)以下の場合、夫(妻)の所得から38万円を控除する制度です。巷では103万円の壁と言われ、妻(夫)の給与収入が103万円を超えたとたんに、妻(夫)が納税者になり、夫(妻)の勤務先によっては、扶養手当等が減額され給与収入が大きく減額されることになる場合があります。毎年12月になると自分の所得調整のために、休んだり勤務時間を短縮するパート社員が現れ繁忙期の会社が苦労していると言うニュースが流れます。

 今回の改正では、配偶者控除の対象を妻(夫)の給与収入が年間150万円(合計所得で85万円)を上限に引上げることとしました。今までと比べ月に約4万円給与が上がっても夫(妻)の扶養家族(控除対象配偶者)になれることになりました。

 但し、基礎控除の金額38万円は変わりませんので、生命・損害保険料控除や社会保険料控除の有無によって本人に税負担が生ずる場合があります。

 昔と違い子供の教育費等の支出が増え夫婦共働きの家庭が増大しています。稼ぎたいがほんの少し給与が増えたことで夫の家族手当がなくなるようでは、妻は自分の能力を生かした働き方ができません。夫婦のどちらかが片方を扶養するのではなく、夫婦の所得に応じ家族の維持のための控除が必要なのではないでしょうか。税額控除とすれば、税負担のない家族には給付も受けられると思います。夫婦(家族)控除への転換が妻の社会的役割を更に大きくするはずです。


フィンテック(第64号 2016.9.30発行)

 最近、新聞や雑誌等でフィンテック(FinTech)と言葉を見聞きします。FinTechとは、ファイナンス(金融)とテクノロジー(IT技術)を結びつけた造語(和製英語ではありません)で、人工知能(AI)などの最新技術を駆使した金融サービスのことです。アメリカ発のサービスで一昨年の2月に当時としては世界最大の取引所が破産し、数百億円相当を横領したとして経営者が逮捕されたビットコイン(仮想通貨)もフィンテックの一形態と言えます。

 そこでフィンテックが私達に及ぼす影響を考えてみたいと思います。

一、家計への影響

 カード決済や銀行引落のデータから、自動的に家計簿を作成したり、領収書や請求書をスキャナー機能で読み取り、自動的に家計簿に入力する。口座の入出金から、将来のキャッシュフロー(預金残高)を予測する。

二、送金や決済(支払)への影響

 スマホから、ラインやフェイスブックなどを経由し、個人間の送金をする。クレジットカードやスイカ(Suica)のようにスマホで食事代 や購入品の支払が出来る。複数のクレジットカードを一枚にして使い分けられる。それぞれのクレジットカードやポイントカードの機能を活かしたまま一枚の電子カードにまとめることが出来る。

  キャッシュカードも暗証番号も必要とせず、指紋だけでA TMの操作や、銀行の窓口サービスを受けられるようになる。

三、保険分野への影響

  急ブレーキや急ハンドルの回数や、ドライバーの年齢・性別などの属性などの情報を収集し、事故の少ないタイプの人の保険料を安くする。

 以上、ざっと消費者に直接影響する項目を挙げてみました。実現すれば便利なものばかりですが、それらの多くのサービスは私達にパソコンやスマートフォンの操作を主とするIT能力を要求し、年配者には不得意な分野です。今後急速に発展普及するフィンテックサービスを身近なものにするためには、自分や我が家にとってどのようなサービスが本当に必要なのかを見極めること、携帯電話を卒業し、スマホの操作に慣れることも必要ですね。

パナマ文書(第63号 2016.5.25発行)

 パナマ文書が世を賑わしています。パナマの法律事務所の業務に関するデータが何者かによりハッキングされ過去40年に渡るタックス・ヘイブンの取引が流出し、ドイツの新聞社から発表されたのです。

 タックス・ヘイブン(租税回避地)とは、税率が「ゼロ」又は限りなく「ゼロ」に近い国や地域のことで、F1グランプリで有名なモナコ公国やイギリス領のケイマン諸島やバージン諸島などがあります。香港やシンガポールも税率が極めて低いため事実上のタックス・ヘイブンです。

 タックス・ヘイブンに資産を持ち、その地域の税制に従って納税していれば合法であり他人からとやかく言われる筋合いはありません。問題はタックス・ヘイブンを利用した過度な節税です。たとえば単純な例として、日本国内にあるA社が100円で仕入れた商品をタックス・ヘイブンにあるB社に110円で売却し、B社はその商品を日本国内にあるA社の子会社C社に190円で売却します。最終的にC社は消費者に200円で販売したとします。日本国内にあるA社とC社の利益は合わせて20円、税率を40%とすれば税金は8円です。一方タックス・ヘイブンにあるB社の利益は80円ですが、税率は0%なので税金もゼロです。子会社を含むA社の納税は本来の利益100円に対する税額40円が8円になり、32円の節税となります。実際には日本には移転価格税制やタックス・ヘイブン対策税制があり過度な節税を防ぐ仕組みがありますが、移転価格の証明などで取締りは困難です。

 タックス・ヘイブンはもう一つの問題点を抱えています。銀行口座のお金が誰のものか何処から来たものよくからない場合が多いことです。このことを利用して税金逃れや資産隠し、犯罪組織がマネー・ロンダリングに使うからです。

 パナマ文書の公開により世界的に有名な俳優やスポーツプレーヤーなどがタックス・ヘイブンを利用していることが判明しました。一国の首相も辞任に追い込まれました。合法的な蓄財だと信じますが、タックス・ヘイブンに口座を持たない庶民にとっては各国の税務調査の結果が楽しみです。


マイナンバー元年(第62号 2016.1.20発行)

 皆様のお手元には昨年末から配付が始まった個人番号の通知カードが既に届いているはずです。いよいよ今年からは個人番号(マイナンバー)を利用した事務が始まります。御存じのようにマイナンバーは税・社会保障・災害対策に限って利用されることになります。世間ではマイナンバーによって個人の情報が国家によって管理され、プライバシーが侵害されてしまうのではないかと心配する人がいます。通知カードの受け取りを拒む人もいます。拾ったり、盗んだ番号カードを悪用されてしまうのではないかとカードを作るのをためらう人もいるでしょう。

 マイナンバー制度のデメリットを挙げればきりがありませんが、法律が施行された今、メリットに目を向けてマイナンバーを私達の暮らしに活用できる仕組みを行政機関に講じてもらうことが重要だと思います。

 番号カードが健康保険証の代わりになったり、病院で受診した際に既に受けた他の病院でのデータを活用できれば同じような検査を繰り返す必要もなくなります。薬局ではお薬手帳がなくても、過去に服用した薬のデータをマイナンバーで確認できれば、薬剤師は薬の飲み合わせなどのチェックをやり易くなるでしょう。

 今後、銀行口座まで個人番号が必要になってくるときが来るかもしれません。痛くもない腹を探られるのは我慢できないと言う人も多くいますがこのような場合を想像してみてください。

…ご主人が突然の事故で亡くなってしまいました。彼は転勤族で日本国中に単身赴任を繰り返していました。各地でどのような通帳を作ったのか奥さんには見当もつきませんが個人番号(個人番号は亡くなった後も有効です)のお蔭で全ての預金を把握でき現金化できました…

 これらのことは直ぐには実現できないと思いますが、利用の仕方を間違えなければ個人番号は私たちの暮らしに役立つはずです。ITを積極的に活用し、安全性をしっかり確認しながら便利で豊かな暮らしを支えられる番号制度になるよう期待します。

消費税の軽減税率(第61号 2015.9.25発行)

 平成294月から消費税率は10%に引き上げられますが政府はその際に、食料品を中心に軽減税率を適用すると約束しました。その政府案のたたき台となる財務省の案が示されました。それによると、①軽減税率の対象は酒を除く全ての飲食料品で、外食も含む。②消費税10%を支払った後に2%分が還付されるが、還付額に上限を設ける。③上限は一人当たり年4000円超⑤上限額は原則、世帯単位で合算して計算する仕組みとする。以上が概略です。消費者は買い物の際にマイナンバーカードをレジにかざして10%の消費税を支払うが、金額に応じたポイントを獲得し後日本人名義の口座で還付金を受け取るという仕組みです。小売店などの事業者は10%の単一税率で納税できるため、請求書などに商品ごとの税率や税額などを記載するインボイス(税額票)を導入する必要がなくなる反面、マイナンバーの読み取るシステムを準備する必要が生じます。政府は読み取るだけであれば、一万円程度で導入できるし、無償での支給も検討すると言っています。

 消費者の立場からは、四六時中マイナンバーカードを財布の中に入れておかねばならないし紛失が心配だ。何を何時買ったか全て政府に把握されてしまうのではないか?税務署から還付されると言われるが手続きが面倒だ。それに、買い物をしたときに消費税が安くなるわけではないので減税の恩恵の実感がわかない、などの不満・不安が出るでしょう。

 飲食料品に対する消費税の軽減税率の適用は、低所得者ほど負担が強まる消費税の逆進性を緩和する大目的のためです。今、政府に求められているのは、消費者にも事業者にも分かりやすく、優しい消費税の軽減です。

 専門家の中には、給付型の税額控除を使ってみてはと言う意見もあります。標準的な所得の人が飲食料品を購入する金額に対する消費税の減税分を年末調整や確定申告の際に、所得税から減額し、減額しきれないものは還付する。マイナンバーを使えば不正請求も防げるはずです。政府には消費者・中小事業者の立場に立った減税策を考えて欲しいものです。


四国遍路(第60号 2015.5.25発行)

昨年の5月から今年の5月まで3回に渡り延べ16日を掛けて四国の弘法大師の霊場を妻と伴に15名の仲間とお参りしてきました。定年を迎える身になったら四国のお寺を訪ね歩きたいとかねがね考えていた矢先に、妻の友人が主催する四国遍路があると知り仲間に加えて戴きました。今回は八十八ヶ所と更に別格の二十ヶ所を加え108の寺を巡る旅となりました。折しも弘法大師が霊場を開創してから1200年に当たり各寺院は巡礼者で賑わっていました。
ここで四国遍路を経験していない方に、遍路の作法をご紹介します。
服装は白が基本です。必ずしも白ずくめになる必要はありませんが、白衣(道中衣)・輪袈裟(袈裟を簡略化したもの)・納経帳(朱印帳)・金剛杖は必需品です。
参拝時の作法ですが、霊場(お寺)に到着したら山門の前で立ち止まり合掌一礼して境内に入ります。手洗い所で手を洗い身を清め、本堂にて献灯、献香し納札(参拝者の住所・氏名等を記載した紙片)を納め礼拝し全員でお経を奉納します。読経にも決まりがあります。開経偈から始まり懺悔文・般若心経・御宝号(南無大師遍照金剛)等、十二のお経を唱えます。本堂の参拝が終了すると弘法大師を奉る大師堂で本堂と同じ手順で礼拝、読経し納経所にて納経帳にお納経(朱印)をいただき、山門に合掌一礼し参拝が終了します。グループでの遍路では多くの場合、遍路に精通した先達が同行し読経の指導や、お参りしている霊場と弘法大師との関わり合いなどを説明してくれます。又、納経も同行しているガイドさんが全員の納経帳を預かり、参拝している間に納経所で朱印をいだいてくれます。
遍路をしていると毎日数名の歩き遍路に出会います。八十八ヶ所を歩いての遍路は約1500㎞に及ぶそうです。青年が大きなリュックを背に日焼けして一段と精悍になった顔でお参りする姿に感動を覚えるのは私だけではないでしょう。
八十八ヶ寺のお参りが終わる(結願)と、高野山の奥の院に眠る弘法大師に参拝し遍路は満願となり名実ともに終了します。何度も遍路に出向く巡礼者の気持ちを、結願したときの感動の中で少し理解できたような気がしました。

中小企業の行方(第59号 2015.1.20発行)

昨年の長野県は沢山の災害に見舞われました。7月は南木曽の土石流、9月には御嶽山の噴火、11月の長野県北部地震では幸いなことに死者は出なかったものの白馬・小谷地域に甚大な被害が出ました。多くの方々が仮住まいで正月を迎えることを余儀なくされました。
経済状態も中小零細企業にとっては思わしくなく、消費税の増税以降、消費者の購買意欲も盛り上がりません。前号(58号)で指摘した10%への再増税への配慮は安倍首相が総選挙の洗礼を受け1年半先延ばしになりましたが事業者の事務負担が心配される軽減税率の適用が確実な情勢となりました。アベノミクスの第三の矢(成長戦略)が全国津々浦々に届くには数年を要するでしょう。
政府の成長戦略策定の中で気になることがあります。少々乱暴な表現ですがダメ(弱い)な企業の切り捨てです。今まで政府は日本の産業の成長のために中小零細企業を含む全ての企業の保護・育成に力を入れてきました。長く続いたデフレ経済の中で競争力を失い力の弱った企業、再生・経営支援するために各種の法律を作り、金融庁をして全国の金融機関に中小企業への金融を柔軟に対応せしめました。平成23年3月に終了した金融円滑化法に代わり24年8月から施行された中小企業経営力強化支援法は、税理士や金融機関等による認定経営革新等支援機関制度を創設し中小企業に対して専門性の高い支援事業を実現し、事業計画の策定等を通じて経営力の強化を支援するものです。これに沿って経営計画を策定し実行すれば現在新規の融資が止まっている企業も新たな資金調達の道が開ける事となります。
政府はこの法律を持ってしても立ち直れない企業には、次の一手は考えないでしょう。生産性の悪い(儲けが少なく借入金も返せない)企業には転業・廃業の道しか残されないでしょう。中小企業経営力強化法はその附則に施行後5年を目処に必要があれば検討するとされています。残された期間は3年です。この間に生き残りをかけた計画を策定・実行し、未来へ続く道程を歩みましょう。

消費税10%と軽減税率(第58号 2014.9.20発行)

消費税率が5%から8%に引き上げられてから5ヶ月が経過しました。増税後の反動もあり4―6月期のGDP(国内総生産)速報値は、年率換算で6.8%減と東日本大震災時の平成23年1―3月期の6.9%に次ぐ落ち込みとなってしまいました。政府は織り込み済みとしていますが、想定外の落ち込みだったとする経済専門家も少なくありません。百貨店各社は6月ごろには消費税増税前の駆け込み需要の反動減が解消し、7月にはプラスに転じる予測をしていましたが、消費の回復は強くなく、7月の売上高は既存店ベースで前年同月比2.5%減となり、5月・6月に比べても下げ幅が拡大してしまいました。
個人消費は夏のボーナス増を背景に、上向くと思われていましたが、台風に伴う豪雨災害などの異常気象も影響し商業施設や観光地の入り込みが不足するなど回復が遅れています。4月からの消費税の増税に加えて、円安を背景にガソリン代や日用品の値上げもあり、家計の負担も増しています。このまま賃金水準が負担増に追いつかなければ、消費者の生活防衛意識は強まり、個人消費主導で景気を持ち直す思惑は外れ、政府の消費税率を10%に引き上げる判断は難しくなるでしょう。
消費税率10%の問題はこのほかにもあります。軽減税率の問題です。政府は消費税率10%時(導入時ではない)に軽減税率を検討するとしています。自民党と公明党による与党税制協議会は6月に軽減税率の対象品目として全ての飲食料品を対象とするから始まり精米のみが対象となるまでの8品目を掲げました。又、軽減税率を導入すると各税率毎の区分経理が必要となるため、請求書等の保存を含む4つの仕組み案を提案しました。
対象品目に該当するか否かの判断、区分経理の導入と、事業者は軽減税率の導入に伴い大幅な事務負担を求められます。中小企業者は4月の増税時に転嫁の問題に悩まされ、今度は事務負担で苦労が増します。政府の思いやりのある柔軟な対応を期待します。

消費税引き上げの影響(第57号 2014.5.20発行)

4月1日から消費税が引上げられ1ヶ月が経過しました。各シンクタンクから5月に入り26年4月分の消費税増税の各業界への影響が発表されました。それによると、大手百貨店が約8%から15%、家電量販店では10%から20%の売上が減少、新車販売も前年同月比5.5%減と高額商品を中心として増税前の駆け込み購入の反動があらわれました。一方、ロイヤルホストやモスバーバーなどの外食産業や東京ディズニーランドなどのレジャー産業では売上や入場者数を増やしたりする企業もありました。先日のニュースでは、売上を減らしたデパートにあっても男性用のクールビズ商品に工夫を凝らし、従来の地味なシャツに替え明るい大胆な柄のものを売り出したところ、売上は減少せずに済んだという報告もありました。外食産業では少し高い食材を使って価格を上げたメニューを提供し消費者の心をつかんだ結果、売上の増加につながった企業があるそうです。クールビズ商品にしても、高い食材を使ったメニューにしても、消費者に多様な選択肢を提供し購買意欲を刺激した企業は好調な売上を維持しています。
本来、消費税は企業の財布にとって中立です。仕入れ等で支払った消費税は売上にかかる消費税から控除され納税するので税率の大小に関係なく企業の手取りは一定なのですが、売上に消費税を転嫁出来なくなったとき(値引きしたとき)に資金繰りを悪化させてしまうことになります。直接消費者に関わらない下請け企業にとって消費税をきちっと転嫁(値引き要請されない)する秘訣の一つは、先のクールビス商品や高い食材を使ったメニューにありそうです。自社の製品やサービスに創意工夫を加え得意先に多様な選択肢を提供したり、かけがえのない価値を持てば価格競争力は向上し選ばれる企業になるはずです。
自宅近くの日帰り入浴施設の入浴料金が4月から450円が480円に値上がりしました。サービスも施設も変化はありません。入浴客が減らなければ良いのですが?

春よ来い(第56号 2014.1.20発行)

政府は昨年の12月24日に平成26年度予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は95兆8千億円余の大型予算です。安倍政権が誕生してから1年が経過し、アベノミクスの効果が大企業や一部の中小企業に出始めましたが、地方の中小企業の大部分はその恩恵に浴するまでは至っていません。消費増税による景気の落ち込みを和らげるために、公共事業などの企業向け景気対策を手厚くしているのが特徴の予算案です。アベノミクスの第二の矢である財政政策が短期的な効果を上げる期待が膨らみますが家計は、4月から消費税率が5%から8%へ引き上げ、9月からは厚生年金保険料率の引き上げ、新70歳の医療費の窓口負担が1割から2割へ引き上げと負担が増すことになります。企業主導の経済再生が家計に賃金アップという形で波及するか、政府は十分な監視が必要です。
識者の中には従来型の公共事業など不要不急の歳出が多く財政健全化が遠のくのではないかと心配する向きもありますが、先ずは目先の景気、特に地方の中小零細企業が胸を張って活躍できる環境を政府が責任を持ってつくってもらうことだと思います。太陽と北風のたとえ話ではありませんが、北風(緊縮財政)が吹けば吹くほど旅人はコートの襟を閉じ身を固くしてしまいます。太陽(大型予算)に暖められた身体は活動的になり、自らコートを脱ぎ捨て身軽な旅を続けられるのです。
金融機関も動き始めました。ほんの少し前までは、赤字でリスケを実施している企業への新規貸し出しは一部の例外を除いて思いも寄りませんでした。現在では、たとえ赤字であっても、債務超過で貸出条件を変更して返済元金をストップしている企業であっても、収益を増進させる設備資金や実効性のある経営計画に基づいた運転資金にも積極的に対応するようになってきました。
真面目にコツコツやってきた企業が馬鹿を見ることがあってはなりません。政府の力、金融機関の応援で春は近くなってきています。
春よ来い!!

消費税増税(第55号 2013.9.20発行)

平成26年4月1日から消費税率が5%から8%に引き上げられるか否かが10月初旬に決まろうとしています。大方は予定通りに実施されると予想されていますが、一部には立ち直りつつある景気の腰折れを懸念し、引き上げの時期を延期したり、毎年1%の小刻みな税率の引き上げで増税による消費者の負担を軽減すべきだと主張する専門家もいます。
1千兆円を超える国の借金返済や、毎年1兆円ずつ増え続ける社会保障費用の負担を考えると、何らかの形で税収を確保しなければ、近い将来国の財政は破綻し子供や働き盛りの若者に大きなツケを廻すことになります。
政府は民主党政権発足時に事業仕訳を実施し歳出の大幅な削減を目指しましたが功をなしませんでした。庶民を苦しめる消費税増税ではなく、「法人税率や高所得者の所得税率を上げて税収を確保すれば良い」と唱える向きもありますが、法人税の税収は平成23年度で7兆8千億円、所得税は13兆5千億円です。所得税納税者の約80%は税率が5~10%の人達ですから、法人税・所得税を10%上げても1兆円にも届きません。それに比べ消費税はデフレ下の平成23年度でも10兆2千億円の税収がありました。消費税率1%に換算して2兆円を超えます(今回の増税時における財務省の試算では2兆7千億円)。
売上時に預かった消費税から仕入時に支払った消費税を控除して納税する日本の消費税制度は、非課税事業を営む病院等を除き企業(事業者)の収益計算に影響を与えません。消費税率が上がっても下がっても企業の利益は原則として変わらないのです。問題は消費税の転嫁を拒否する買いたたきや、転嫁に応じることとの引換えにする購入強制で企業に対し不当な取引を強要することで、力の弱い企業の収益が削がれてしまうことです。
消費税増税は財政再建という大義名分の基では、止む得ない事だと思います。但し、その増税が力の弱い企業業績に影響の出ないように、生活弱者の負担に配慮することも忘れてはならないのです。

第三の矢は中小零細企業市場を射貫くか?(第54号 2013.5.20発行)

アベノミクスの効果が現れ始めました。第一の矢である大胆な金融政策は、黒田日銀総裁の誕生を受け、「次元の違う金融緩和」により為替相場は大きく円安に振れ5月の連休明けには1ドル100円に迫ろうとしています。輸出型企業は追い風を受けトヨタの平成25年3月期決算は1兆4000億円の税引前利益を計上し翌26年3月期は1兆8900億円とリーマンショック前の水準を回復する予測です。第二の矢である機動的な財政出動は、本紙が皆様のお手元に届く頃には24年度補正予算と一体的な15ヶ月予算として総額92兆6000億円余の平成25年度予算が成立します。インフラ整備等の公共事業を活発化させ民間市場に政府資金が潤沢に出回るようになるでしょう。
問題は第三の矢です。成長戦略を担当する産業競争力会議の十名の民間議員には、竹中平蔵・慶応大学教授、三木谷浩史・楽天社長、新浪剛史・ローソン社長など蒼々たるメンバーが名を連ね4月までに7回の会議を重ねました。会議は、A産業の新陳代謝の促進、B人材力強化・雇用促進制度改革、C立地競争力の強化、Dクリーン・経済的なエネルギー需給実現、E健康長寿社会の実現、F農業輸出拡大・競争力強化、G科学技術イノベーション・ITの強化の七つのテーマに分かれており「成長戦略」を六月にはまとめる予定です。第三の矢が確実に的を捉えなければアベノミクスは失速し、国民の大多数は低賃金と物価高に喘ぐことになり金融・経済は大きな打撃受け政治は大混乱に陥ります。
七つのテーマの中には残念ながら直接中小零細企業の支援に触れたものはありません。だからと言って失望してはいられません。大企業が成長を取り戻す過程で中小零細企業にもチャンスが巡ってきます。大企業は中小零細企業の助けなく発展は出来ないからです。選ばれる企業を目指し、「経営革新等支援機関」と手を携えながらその時に備えようではありませんか。

動く!!(第53号 2013.1.21発行)

昨年末に新政権が誕生しました。安倍首相は自らを危機突破内閣と名付け、デフレ不況を早期に脱出すると宣言しました。経済運営の柱は三本の矢です。第一の矢は大胆な金融政策、第二の矢は機動的な財政出動、第三の矢は成長戦略です。
金融政策ではインフレ率2%を目指し、政府・日銀が一体となって市場に低金利の資金を潤沢に供給し企業の設備投資を後押しするものです。機動的な財政出動とは、十三兆円を超える補正予算を編制し、その内四兆~五兆円を公共投資に充て民間需要を喚起するというものです。成長戦略とは、政府に設けた日本経済再生本部に産業競争力会議を設置し、成長戦略の具現化を議論させ、健康・長寿、グリーンエネルギーなどの戦略分野への投資や規制改革を推進するものです。
大部分の中小零細企業は瀕死の状態にあります。長い間デフレに悩まされ、超円高に苦しめられ、借入金の返済も思うようにならず、金融円滑化法が三月で終了することに怯えています。
昨年末に地元各金融機関の支店長と話し合う機会がありました。各支店長は口を揃えて円滑化法が終了しても「手のひらを返したようなことはしません」と言明してくれました。だからといって借入金の返済が免除になるわけではありません。企業が売上を増やし、利益を出すのを辛抱強く待とうと言ってくれているのです。
今までは財政再建と言う大義名分のために支出を削減し、大幅に公共事業をカットしてきました。金融を緩和してもデフレは資金を中小零細企業の頭上を通過させただけでした。飢えている人に「痩せたのだから食べ物を少なくすれば腹は空かなくなる」というのと同じです。腹が満たされてこそ元気が出ます。明日への活力も湧いてきます。公共事業の増加が中小零細企業の売上増に結び付くことを切に期待します。
政治・経済が動こうとしています。今企業に必要なのは行動する力です、動くことなく結果は生じないからです。

消費税増税(第52号 2012.9.20発行)

去る8月10日の参議院本会議で消費税増税法案が可決され成立しました。消費税は平成26年4月に8%へ、27年10月に10%へ増税されることが決まりました。野田首相を始めとする政府は増税分の消費税は全て社会保障に充てると明言しています。毎年一兆円を超える勢いで増え続ける社会保障費の財源を考えれば消費税の増税はやむを得ないと考えますが、中小零細企業にとっては最悪のタイミングでの増税となるのではないかと懸念しています。
消費者について政府は8%に増税時点で、年収が一定以下の人には簡素な給付措置、食料品等の生活必需品については軽減税率を適用し、10%に増税時点では所得に応じた減税と、給付付き税額控除を併用した現金支給の導入も視野に入れると弱者対策を強調しています。ただし、参議院で野田首相の問責決議案が可決されたため、それに伴い共通番号(マイナンバー)法案が廃案となり、給付付き税額控除による現金給付は事実上不可能となりそうです。
不動産バブル崩壊で低迷を続けていた経済が立ち直りの兆しを見せ始めた1997年(平成9年)4月に橋本龍太郎内閣は消費税を3%から5%に引き上げました。引き上げ直前は駆け込み需要で消費は膨らみましたが、引き上げ後半年を過ぎた頃から消費は落ち込み景気は急速に後退し始めました。超緊縮予算の影響など景気悪化の原因は消費税の負担増だけではないと思われますが、今回も消費税の増税は確実に消費を減退させ、それに伴って生産者(事業者)の供給力を奪うことになるでしょう。
各地域で圧倒的多数を占める価格形成力に乏しい事業者は、今後一年半の間に受注の減少や、増税分の価格不転嫁に耐えうる余力を蓄える必要があります。厳しい状況ですが増税直前には駆け込み需要が必ず発生し、震災の復興需要もまだまだ期待出来ます。視野を拡げ周りを見渡し積極果敢に自社を売り込み、体力の強化を図りたいものです。

節電の夏(第51号 2012.5.17発行)

節電の夏がやってきます。昨年は東日本大震災のために国民は暑い夏に節電を強いられました。今年も5月6日の北海道の泊原発を最後に電力供給の約3割を占める日本国中の原子力発電所の稼働が停止し供給不足が予想されるため、昨年に引き続き政府は国民に節電を呼びかけています。長時間の停電が国民生活や、生産活動、医療活動等に壊滅的な打撃を与えることは火を見るよりも明らかです。日本が世界に誇るIT部品等の超精密製品の製造は、製造途中で停電によりラインが停止した場合、回復までに長期にわたる調整が必要だそうです。政府の場当たり的な対応に憤懣やるかたない国民は安全と安心を選択し、原発の再稼働にノーを突きつけました。
多数の国民が原発の再稼働に同意出来ないのは、東日本大震災のような大地震や津波によって施設が破壊されたり機能不全となり大量の放射線がばらまかれ広範囲におよぶ放射線の被曝被害が生じる恐れがあるからです。とはいえ、不思議なのは放射線量と健康被害の関係です。宇宙飛行士の野口さんは一六三日間の国際宇宙ステーション滞在中に地上で生活している人の約八十年分の放射線を浴びたそうです(一日に一ミリシーベルト)。ガガーリンの時代から多くの宇宙飛行士は宇宙で生活してきました。その人達の健康状態はどうなったのでしょうか?
そして忘れてはならないのが地球温暖化対策です。大震災以来報道から遠ざかっていますが、原発を稼働させない場合、二0二0年には二酸化炭素の排出量は稼働させた場合に比べその削減率は十ポイント増加し、省エネなどの対策を充分にとった場合でも一九九0年と同量で削減率は0%だそうです。太陽光・風力・地熱発電に期待したいところですが、全ての電力を賄うことは出来ません。最近の異常気象など温暖化対策は喫緊の課題です。私達は祖先から受け継いだ緑の大地を汚すことなく子孫に引き継ぐ責務があることを忘れてはならないのです。

進取の気象(第50号 2012.1.16発行)

本年の当事務所行動指針は「進取の気象」です。ご高承のように進取の気象とは「みずからが進んで事をなす気質」という意味です。
昨年末に23年間慣れ親しんできた事務所を建て替えました。大震災あり、超円高ありの大不況の中で事務所を建て替えるにあたっては少なからずお得意様から「沢山の企業が不況で苦しんでいる時に事務所を建て替えるとは何事ぞ」とお叱りを受けました。金融機関から調達したとは言え、大金を使って事務所を建て替えたのですからお叱りになるのは尤もなことです。しかしながら角度を変えて考えてみると不況だから誰も彼もが縮こまってじっと景気が良くなるのを待つ事ばかりが不況の過ごし方ではないと思うのです。
私は、事務所の未来を信じています。借金の本来の目的は未来への投資です。
企業の明日を信じ、成長を確信するから未来の収益で現状を変えていくのです。
全てのお得意様の大切な資料を10年間安全に保管出来るように、事務所にお越しいただいたお客様が他の来訪者様を気にせず安心して相談・打合せが出来るように、狭く急でご不便をかけた階段を改め2階の事務室や3階の研修室へはエレベータを利用できるように、来訪者様や職員が周囲を気にせずトイレ・洗面所を使えるように事務所を改良しました。お得意様へのサービスを今一度見直すためには新しいハードウエアが必要です。
当事務所の所訓の一番目は「得意先企業の防衛と永続的発展のため最も優秀なサービスを提供しうる事務所でなければならない」です。事務所として最も優秀なサービスを提供するためには職員一人一人の資質の向上が不可欠です。職員の資質の向上は事務所の成長なくしてあり得ません。不況だからこそ職員を鍛え、お得意様に万全なサービスで厳しい状況を乗り切るお手伝いをさせていただくのです。
所長以下職員一同、進取の気象で業務に取り組み、お得意様へのサービスを充実させていきます。

震災の復興と税制(第49号 2011.10.15発行)

大震災から7ヶ月を経て本格的な復興予算となる平成23年度第3次補正予算の編成手続きが始まりました。阪神淡路大震災復興のための補正予算が5ヶ月で国会に提出されたのと比べると規模の違いはあるものの、政府の怠慢さにやるせなさを感じる人は少なくありません。
その内容をみると、平成28年度までに12兆円を投じ、がれき処理やインフラ復旧、生活再建等の充てるとされています。問題はその財源です。こども手当などの歳出削減で2兆円程は確保できるものの、残った10兆円は増税によって賄わなければなりません。増税の大きな柱は
①所得税 平成25年から10年間で、納税額に一律4%の上乗せで6兆2000億円
の増税
②法人税 平成24年4月から3年間で2兆4000億円の増税
③たばこ税 平成24年10月から1本あたり2円(国10年、地方5年)で2兆2000億
円の増税
④個人住民税 平成26年6月から5年間で一人あたり年500円アップで4000億円
の増税となっています。

震災復興のために、全国民が経済的な負担を含め力を合わせることは当たり前です。そのための増税であればやむを得ないと考える国民は多いはずです。問題は昨今の株価低迷と円高です。株価は1万円を大きく下回り8千円半ばを低迷しています。円はドルに対し76円台と電機・自動車を中心とした輸出産業に大打撃を与えています。これに追い打ちをかけるように法人税が増税となれば、大企業の受ける負担益々大きくなります。生産の本拠地のアジアを中心とした海外移転は加速されるでしょう。
中小企業も例外ではありません。元請け企業の生産拠点が海外へ移転すれば下請け企業は一緒に移転しない限り取引から除外され一挙に売上を減少させることになります。日本を本当の意味で復興させるためには被災地もさることながら全国の法人企業を育む税制を講じて戴きたいのです。

東日本大震災の後遺症(第48号 2011.6.15発行)

忌まわしい大震災から三ヶ月が経過しました。宮城県を始め岩手、茨城、千葉の各県では仮設住宅への入居なども始まり、被災された方々の日常が少しずつ取り戻されつつありますが、本格的な復興は緒に就いたばかりです。時を同じく福島県では東京電力福島第一原発の津波によるアクシデントにより、多くの県民が避難を余儀なくされ不自由な生活を強いられています。二万名を超える人命を奪われた精神的なダメージは勿論こと被災家庭や東北・北関東の地域経済に及ぼす損失は計り知れないものがあります。
今回の震災は、直接の被害だけではなくその後遺症というべき間接的な被害も
無視できません。被災地域で製造される完成品や部品の供給が停止されたり滞ったりして被災地域以外の工場の生産に影響を及ぼしています。浜岡原発の運転停止による中部電力の電力供給にも不安が募ります。計画停電が実施されれば、長野県の中小企業も大打撃を受けます。
国民の目は被災地を向いています。「がんばれ東北!!」「がんばれ日本!!」
未曾有の地震や津波、はたまた人災と言っても過言ではない原発からの放射能洩れに苦しむ人や企業を幸いにも被災に会わなかった私達は自身の出来うる限り全力で支えるつもりです。
それとともに忘れてならないのは、後遺症に苦闘する企業の救済です。原材料が入らない、生産縮小により元請企業からの発注がなくなった等々、中小企業経営に対する影響は、被災地の企業と比べ程度の差こそあれ甚大です。公的金融機関は二次被害についても対応すると公表していますが、被災地向けの資金供給に手一杯の感があります。
行政の仕事の根幹は地域を守ることです。今こそ地域の人や企業の安全・安心の保証料として住民から預かった資金を投入し、後遺症に苦しむ企業を救っていただきたいと願うのです。
「がんばれ長野!!」
「がんばれ信州!!」

平成23年度税制改正について(第47号 2011.1.15発行)

昨年の暮れに政府は税制改正大綱を決定しました。その内容を一言で表すと、「個人しわ寄せ改正」です。
改正の目玉は法人税の減税です。法人実行税率を40.69%から35.64%へ実質5%の引き下げが実施されます。もっとも、基本税率引き下げの効果を最大限に受ける大企業にあっては、租税特別措置法等の優遇税制が縮減され、繰越欠損金の控除も8割に制限されるため、企業によっては負担が増えることが予想されます。中小法人の軽減税率(年800万円まで)は、18%から15%に、本則税率は22%から19%に引き下げられます。
個人は増税となり、特に高所得層には顕著に税負担のしわ寄せが発生します。
①先の改正で一月から15歳以下の扶養親族が控除の対象から外れるとともに、
②平成24年からは23歳から69歳までの扶養親族(成年扶養親族)については、合計所得が400万円(給与収入で568万円)以下の世帯に限り認められることになります。③給与収入の必要経費にあたる給与所得控除額が、年収1,500万円を超えた時点で一律245万円に抑えられ、年収2,000万円を超える企業の役員の控除額はさらに圧縮されることになります。
相続税も改正が行われ、課税の裾野が拡大します。①基礎控除の定額部分が現行の5,000万円から3,000万円に②法定相続人一人あたりの基礎控除額が1,000万円から600万円に、基礎控除全体で40%が圧縮されます。③死亡保険金に対する非課税も同居していない成年者には対象外となります。
政府の財政に対する方針が定まらないため、税制の抜本的な改正が見送られ国民の税負担にひずみが生じようとしています。

政治と企業経営(第46号 2010.10.15発行)

民主党を二分して戦った代表者選挙に勝利した菅氏が首相に就任した直後に襲ったドル売りの悪夢は日銀の介入により9月末現在で1ドル84円前後に落ち着いているものの、相変わらずの円高は輸出産業を支える中小零細企業にとって受注減、低単価の二重苦となっています。
ハイブリッドカーに代表されるエコカーの購入に係る補助金が9月30日の締め切りを待たずに打ち切りになり、消費を下支えしてきた大きな柱の一つが失われたように、国民不在で権力闘争に明け暮れた政治空白のツケが10月以降に廻ってこようとしています。菅首相は慌てて補正予算の編成を指示しましたが、ネジレ国会の現状を考えるとその効果が現れるのは来春以降になってしまうでしょう。おりしも、尖閣諸島の領有権を巡り公務執行妨害で逮捕した中国人船長を政治的判断?で起訴前に釈放し中国政府のヤクザまがいの暴言や脅しに屈した政府の外交姿勢に国民は深い失望を感じています。
政治と企業経営は密接に関係しています、一昔前であれば中小企業主が国に期待することは税制と予算(景気対策)でした。しかし企業活動がグローバルになった現在では中小企業にとって政府の果たす役割は多岐にわたり益々重要になってきています。為替や貿易など企業の努力では解決できない問題が会社の業績に大きな影響を及ぼすようになってきているのです。
厳しい環境下であっても信頼できるリーダーは安心・安全な処へメンバーを導くよう最大限の努力を惜しみません。その努力を政治の力で示していただきたいと願うのです。

トップの決断(第45号 2010.06.15 発行)

景気が良いときの大型設備投資や、不況時における不採算部門の撤退など、企業経営者の決断が会社の命運を左右するような大きな出来事は滅多にあるものではありません。
但し、大きな出来事ではなくても小さな誤りの判断が2年・3年と積み重なり、初めは予想も出来なかったような深刻な結果を生み出すこともあります。いずれの場合であっても経営者は事の重大さを感じたときには迅速に効果的な手段を考え企業が傾かないように手当をしていく必要があります。
手当が遅れたり、手当を怠った場合は、最悪の結果を覚悟しなければなりません。中小企業では会社だけではなく、経営者の家庭まで含めた悲劇が待っています。企業が倒れそうになったとき、真面目な経営者は家族を含め自分以外の人や組織に金銭的な迷惑を掛けることを心配します。
会社を支払不能にしないために、返済が出来るかどうか疑問を感じながら、ありとあらゆる努力を重ね資金を調達し、会社や経営者自身の債務を際限なく増加させていくのです。
そして終わりが訪れます。万策尽き身も心も疲れ果て今までの努力を放棄するのです。ほんの一部の律儀で人一倍心優しく責任感の強い経営者は自分の命と引き替えに借金を清算し、トップとして自らの決断の責任を果たすこともあるのです。
翻って、日本国株式会社のトップたる総理大臣は自分の決断に対してどのように感じているのでしょうか。総理大臣は一億人を数える日本国民のリーダーです。選挙によって国民から政治を付託された国会議員から選ばれた総理大臣は日本国民の安心・安全を守り全ての国民が平和で暮らせるよう不断の努力を強いられます。
そのトップの決断が猫の目のように変化し決断から生じた結果が国民に不安と不信感を与えた影響は大きく、信頼は傷つきました。企業経営を一人で背負い責任を一身に集めて歩む中小企業経営者の爪の垢でも煎じて飲んで戴きたいものです。

笑門来福(第44号 2010.01.15発行)

鳩山連立政権による政治経済の混迷が中小企業経営にも暗い影を落としています。民主党がマニフェスト(政権公約)で約束し、声高に衆院選の選挙演説で廃止を叫んでいたガソリン税の暫定税率は実質的に維持され、亀井金融担当相のキモ入りで成立し昨年の十二月四日から施行された「中小企業金融円滑化法」は、中小企業向けの融資や、個人向けの住宅ローンの返済につき、強制的な返済猶予ではなく、猶予の判断等を金融機関に丸投げし、貸し渋りや貸しはがし防止に効果があるかどうか疑問となりました。
庶民に拍手喝采を浴びる政治手法が真に国民の将来を安心・安全に導くか歴史の判断に待つことになりますが、企業経営には迷走は許されず、受注量(顧客)の減少や単価の切り下げで本年も昨年以上に厳しい年になることが予想されます。
「ダメだ ダメだ」と渋い顔をしていても状況が好転することは先ずありません。反面、「ヨシ!!ヨシ!!」と朗らかな笑顔は周囲を明るくし希望を作り出します。
望みがあれば具体的な目標が生まれます。目標が決まればそれに至る計画が立てられます。計画が定まれば希望を実現するために歩み出すことができます。安曇平から振り仰ぐ常念岳の頂は遠く高く聳えていますが、一歩一歩着実に足を踏み出すことで数時間後には山頂近くの山小屋で食事を楽しむことができるのです。
たとえ小さな目標であっても積み重ねれば大きな成果に結び付くことを私達は知っています。
読者には辛く厳しいときに「笑顔を!!」なんてふざけたことを言うなとお叱りを受けるかも知れませんが、笑顔で暮らして害はありません。
「笑う門には福来たる」今年は「ニコニコ」とお得意先の単価見直しをやり過ごし、「ワッハッハ」と売上の落ち込みを笑い飛ばして福を招こうではありませんか。

政権交代と中小企業(第43号 2009.10.13発行)

民主党連立政権が誕生し、その政策が実行されつつあります。そこで気になるのが中小企業との関わりです。暮らしのための政治を(民主党)、生活再建(社民党)など、与党は生活者としての国民目線で新しい施策を打ち出しました。それらが中小企業の経営に及ぼす影響を考えてみたいと思います。
第一は、最低賃金の問題です。民主党は全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定し時給800円を想定、最低賃金の全国平均1,000円を目指し、社民党は最低賃金時給1,000円を実現するとして、政権与党として最低賃金を大幅に引き上げる計画をしています。財政上・金融上の措置が講じられるそうですが、仮に助成金や補助金が交付されることになっても企業にとっては、コストの増加となり経営を圧迫する要因になりかねません。
第二は製造現場への労働者派遣の原則禁止です。専門業務以外の派遣労働者は常用雇用として雇用の安定化が図られます(民主党)が、中小企業にとっては、人件費コストの柔軟性が失われ、固定化したコストが経営を脅かすことになるでしょう。
第三は地球温暖化対策です。鳩山首相は国連で二酸化炭素排出量を2020年迄に1990年比25%削減すると国際公約をしました。ハイブリッド車や太陽光発電装置の製造等で特定の企業は受注機会が増えるでしょうが、大多数の企業は光熱費や材料費等の値上げに直面することになりそうです。
他方、亀井金融担当相はモラトリアム法案を臨時国会に提出し、中小企業向け融資や、個人向け住宅ローンの返済を3年間猶予する意向です。借り手の企業にとっては朗報ですが、金融機関の経営を考えると諸手を挙げて歓迎とは言い切れません。金融機関の破綻で更なる重荷を背負った企業が沢山あるからです。地域の金融機関に対する万全な対応策も同時に実施していただきたいものです。
政府には生活者の目線と同時に中小企業の現場での目線で施策を実行して頂きたいと思います。

緊急経済対策(第42号 2009.6.15発行)

世紀の大不況の真っ只中、中小企業は、売上不振や金融機関の信用収縮により、資金調達が困難な状態に陥っています。このような危機的経営環境においては、企業単独の力で生き残っていくには限界があります。資金繰りや雇用維持に悩む企業に対し、政府や地方自治体は中小企業の存続に向けた緊急資金繰り対策や、雇用対策を用意しています。
経済産業省や中小企業庁、金融庁、厚生労働省は昨秋から本年の4月にかけ、相次いで緊急経済対策を発表し実施してきました。保証協会による緊急保証の充実、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)・商工中金によるセーフティーネット貸付の拡充、小規模事業者経営改善資金(マル経融資)の拡充、各地の経済産業局に設置した「中小企業金融貸し渋り110番」での相談受付、中小企業倒産防止共済制度の一時貸付金の金利引下げなど、雇用維持に取り組む企業には、雇用調整助成金の支給の迅速化・簡素化の推進、労働者の解雇などを行わない場合の助成率の上乗せ、「残業削減雇用維持奨励金」の創設などが主な施策です。
当会計事務所の役割は、正確で迅速な決算に基づく適正な税務申告の代理だけではありません。お得意先企業が永続的に成長し、発展するお手伝いをさせていただくことも大事な使命です。私達は有用な情報をタイムリーに提供し、それらの実現をフォローすることが、私達のできるお得意様の発展のための最大のお手伝いだと信じています。もう一つは、社内の会議を通じた企業内の意思疎通のお手伝いです。不況のときこそ社長・社員が一丸となって同じ目的に向かって進まなければなりません。心を開いて話し合うことが必要なのです。
私達を活用して下さい!!

租税教室(第41号 2009.1.15発行)

昨年の12月18日、松本税務署の依頼で租税教室を朝日村の朝日小学校六年生に実施しました。内容は、消費税を事例に税金が国民生活にとって如何に重要かを啓蒙するものです。「日本の税金の種類は何種類ありますか?」から始まり、国税と地方税の相違、世界の国々の消費税率とわが国の税率を比べ日本の消費税率が如何に低いか、などを勉強します。年間の消費税額13兆円が百万円の札束でどの位の長さになるのかの説明では、取り出した百万円の札束(勿論、偽物)をちらつかせながら、この札束を縦に並べると130㎞にもなり、松本駅から中央線の線路に沿って並べると、甲府を過ぎて大月近くまで達し、特急あずさ号で1時間半走ってもまだ達しないなど、具体的な例を挙げ金額の大きさを説明します。自分たちの学校の改築費を当てるクイズもあり、税金が身近なところで大いに役立っている事例も紹介します。
授業の途中でビデオの上映があります。税金がなくなったらどうなるのかという物語です。交通事故を起こし怪我をした人に救急車を呼ぼうとしたら、お金がないから救急車は呼ばないでくれ、と言われたり、横断歩道を渡ろうとしたら通行料を請求されたり、さんざんな目に遭う物語です。
税金の話なので、興味も薄く耳を傾けてくれるのか心配でしたが、私語もなく講師の話を聞いてくれました。「日本は民主主義の国で、国民の安全や安心は個人や会社など国民全員の力で支え合わなければなりません。そのための経費として税金があるのです。」と言う言葉で授業を終わりました。
日本の将来を担う子供達が、租税の趣旨を理解し正面から租税に向き合い一人ひとりが国を支える礎として成長してもらうことが大人の願いです。その役割の一部を税理士という職責が果たせることに税理士の新たな一面を見いだした日でした。

燕岳登山(第40号 2008.10.10発行)

登山者の喧噪も一段落した九月六日に、何十年振りかで燕岳へ登山する機会を得ました。事務所の職員やお得意先・取引先の有志、老若男女合わせて十二名は、早朝五時三十分に佐々木事務所前を出発、中房温泉の登山口で登山者カードを提出し登山が始まりました。アルプスの三大急登に数えられている登山道の登りは約三十分毎に現れるベンチに救われ、第一ベンチ・第二ベンチ・第三ベンチ・冨士見ベンチと疲れも極限になりかけたときに、合戦小屋に到着しました。登山口から三時間余を歩き続けた疲労は、波田のスイカを頬張って半分ほど吹き飛びました。合戦小屋から上部は眺望も開け、雲行きの心配はあるものの一時間半ほどで頂上直下の山小屋、燕山荘に着きました。お昼ご飯はバックカントリー(穂高駅前の登山用品店)お手製のお弁当です。山岳ガイドのオーナー監修の信州弁当は、もち米ベースのご飯に信州サーモンや野沢菜等の信州の特産品をあしらい山旅の昼食に必要なボリューム感に溢れたものでした。
これ以上は登りたくない、山小屋の食堂でビールを飲みながら待つという若干名の職員を残し、午後一時、燕岳山頂に立つことができました。残念ながら雲が立ち込め、晴れていれば遠く聳える槍穂高の勇姿を垣間見ることもありませんでした。
急な登りも厳しいものでしたが、下りは更に追い打ちを掛けるように辛く痛む足を引きずりながら中房温泉に下山したのは夕闇迫る午後五時十五分でした。
有明荘の露天風呂は、疲れた身体に充分すぎる活力を与えてくれました。
中房温泉登山口の標高は一四六二mです。燕岳の山頂二七六三mとの標高差千三百mを歩幅が一mにも満たない人間が、十時間の間に登り下したのです。積み重ねることの大事さ、偉大さを身体で再認識した一日でした。

第三セクターの危機(第39号 2008.6.10発行)

国や地方公共団が主体となって設立された第三セクターの一部が経営危機に直面しています。地方分権化推進の渦中で財政の透明性が増していくにつれて、帯広市のように、第三セクターの破綻が地方自治体の破綻に繋がってしまうこともあります。
昨年から今年前半にかけて活動した安曇野市の「安曇野市出資法人あり方検討専門委員会」の一員として、市が出資した第三セクターの見直しを話し合いましたが、議論を通して感じたことを述べたいと思います。
第三セクターの設立目的は行政の補完であることを考えると、公益性が確保されなければなりません、そのために収益性が犠牲となるのは一般的な営利法人と違うところです。通常、第三セクターは自治体が設置した施設を使用して経営活動を行いますが、安曇野市では、その利用料(賃借料)の算定に統一性がありません。
本来、利用料は施設の耐用年数に応じた投下資金の回収や、利回りを基準に算定されるはずですが、安曇野市の場合は五市町村が合併して誕生したこともあり、算定方法については旧市町村の基準がバラバラです。
第三セクターの事業には公益性に首を傾げたくなるような法人もあり、国からの補助金の取得が目的で設立されたのではないかと疑いたくなるようなものもあります。民間企業と異なり経営成績が法人の存立に直接の影響を及ぼさないため、経営に緊張感が見られない場合もあります。
その中にあっても、努力を重ね収益を計上している法人もあります。又、第三セクターは地域の雇用創出や地域経済の活性化にはそれなりの成果を挙げています。公益性と収益性の相反する条件をクリアーし、企業として今後も市民の支持を得るためには、民間企業と同様に経営に携わる人の熱き情熱が必要です。

母の思い出(第38号 2008.1.15発行)

昨年の十一月に九十三才の母を亡くしました。十月十一日に軽い肺炎で市内の総合病院に入院したのが我が家で過した最後の日となり、たったの四十日で帰らぬ人となってしまいました。
母は私達兄弟が幼い頃から臨時雇いの学校給食調理員として女手一つで二人の息子を育ててきました。夜は近くの食堂で皿洗いをして親子三人の生活を支えてきたのです。
誰しもが幼い頃の親子の楽しい想い出を二つや三つ持っているものですが、私にはそのような記憶がありません。母には時間的にも経済的にも親子の触れ合いを楽しむ余裕などなかったのかも知れません。
そのような思いがあったのか、昭和五十二年に私が信州へ移り住むと決めたときも、住み慣れた東京を離れるのは辛かったと思うのですが反対はしませんでした。
穂高へ来て私の生活も安定し始め孫の手も離れると失われた自分の青春を取り戻すかのように外国旅行や大型犬での散歩を楽しみました。
誕生日をケーキで祝ったり、好物の焼肉や寿司を食べに家族揃ってファミリーレストランに出掛けたり、一緒に暮らしていることが当り前の時は、その存在を強く意識することなどなかったのですが、突然目の前から永久に姿を消されてしまうと、失ったものの大きさが身に染みます。
母が私に残してくれたのは形のあるものではなく昔の母の後ろ姿です。私の子供の頃のただ黙々と働き続ける後ろ姿です。
「真面目に一所懸命働く」私も母が残してくれたものを子供達に相続できるよう働きます。お得意様のため、職員のため、地域社会のため、そして家族のために真面目に一所懸命働きたいと思うのです。

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