所長からのメッセージ バックナンバー 2016年

フィンテック(第64号 2016.9.30発行)

 最近、新聞や雑誌等でフィンテック(FinTech)と言葉を見聞きします。FinTechとは、ファイナンス(金融)とテクノロジー(IT技術)を結びつけた造語(和製英語ではありません)で、人工知能(AI)などの最新技術を駆使した金融サービスのことです。アメリカ発のサービスで一昨年の2月に当時としては世界最大の取引所が破産し、数百億円相当を横領したとして経営者が逮捕されたビットコイン(仮想通貨)もフィンテックの一形態と言えます。

 そこでフィンテックが私達に及ぼす影響を考えてみたいと思います。

一、家計への影響

 カード決済や銀行引落のデータから、自動的に家計簿を作成したり、領収書や請求書をスキャナー機能で読み取り、自動的に家計簿に入力する。口座の入出金から、将来のキャッシュフロー(預金残高)を予測する。

二、送金や決済(支払)への影響

 スマホから、ラインやフェイスブックなどを経由し、個人間の送金をする。クレジットカードやスイカ(Suica)のようにスマホで食事代 や購入品の支払が出来る。複数のクレジットカードを一枚にして使い分けられる。それぞれのクレジットカードやポイントカードの機能を活かしたまま一枚の電子カードにまとめることが出来る。

 キャッシュカードも暗証番号も必要とせず、指紋だけでATMの操作や、銀行の窓口サービスを受けられるようになる。

三、保険分野への影響

 急ブレーキや急ハンドルの回数や、ドライバーの年齢・性別などの属性などの情報を収集し、事故の少ないタイプの人の保険料を安くする。

 以上、ざっと消費者に直接影響する項目を挙げてみました。実現すれば便利なものばかりですが、それらの多くのサービスは私達にパソコンやスマートフォンの操作を主とするIT能力を要求し、年配者には不得意な分野です。今後急速に発展普及するフィンテックサービスを身近なものにするためには、自分や我が家にとってどのようなサービスが本当に必要なのかを見極めること、携帯電話を卒業し、スマホの操作に慣れることも必要ですね。

パナマ文書(第63号 2016.5.25発行)

 パナマ文書が世を賑わしています。パナマの法律事務所の業務に関するデータが何者かによりハッキングされ過去40年に渡るタックス・ヘイブンの取引が流出し、ドイツの新聞社から発表されたのです。

 タックス・ヘイブン(租税回避地)とは、税率が「ゼロ」又は限りなく「ゼロ」に近い国や地域のことで、F1グランプリで有名なモナコ公国やイギリス領のケイマン諸島やバージン諸島などがあります。香港やシンガポールも税率が極めて低いため事実上のタックス・ヘイブンです。

 タックス・ヘイブンに資産を持ち、その地域の税制に従って納税していれば合法であり他人からとやかく言われる筋合いはありません。問題はタックス・ヘイブンを利用した過度な節税です。たとえば単純な例として、日本国内にあるA社が100円で仕入れた商品をタックス・ヘイブンにあるB社に110円で売却し、B社はその商品を日本国内にあるA社の子会社C社に190円で売却します。最終的にC社は消費者に200円で販売したとします。日本国内にあるA社とC社の利益は合わせて20円、税率を40%とすれば税金は8円です。一方タックス・ヘイブンにあるB社の利益は80円ですが、税率は0%なので税金もゼロです。子会社を含むA社の納税は本来の利益100円に対する税額40円が8円になり、32円の節税となります。実際には日本には移転価格税制やタックス・ヘイブン対策税制があり過度な節税を防ぐ仕組みがありますが、移転価格の証明などで取締りは困難です。

 タックス・ヘイブンはもう一つの問題点を抱えています。銀行口座のお金が誰のものか何処から来たものよくからない場合が多いことです。このことを利用して税金逃れや資産隠し、犯罪組織がマネー・ロンダリングに使うからです。

 パナマ文書の公開により世界的に有名な俳優やスポーツプレーヤーなどがタックス・ヘイブンを利用していることが判明しました。一国の首相も辞任に追い込まれました。合法的な蓄財だと信じますが、タックス・ヘイブンに口座を持たない庶民にとっては各国の税務調査の結果が楽しみです。

マイナンバー元年(第62号 2016.1.20発行)

 皆様のお手元には昨年末から配付が始まった個人番号の通知カードが既に届いているはずです。いよいよ今年からは個人番号(マイナンバー)を利用した事務が始まります。御存じのようにマイナンバーは税・社会保障・災害対策に限って利用されることになります。世間ではマイナンバーによって個人の情報が国家によって管理され、プライバシーが侵害されてしまうのではないかと心配する人がいます。通知カードの受け取りを拒む人もいます。拾ったり、盗んだ番号カードを悪用されてしまうのではないかとカードを作るのをためらう人もいるでしょう。

 マイナンバー制度のデメリットを挙げればきりがありませんが、法律が施行された今、メリットに目を向けてマイナンバーを私達の暮らしに活用できる仕組みを行政機関に講じてもらうことが重要だと思います。

 番号カードが健康保険証の代わりになったり、病院で受診した際に既に受けた他の病院でのデータを活用できれば同じような検査を繰り返す必要もなくなります。薬局ではお薬手帳がなくても、過去に服用した薬のデータをマイナンバーで確認できれば、薬剤師は薬の飲み合わせなどのチェックをやり易くなるでしょう。

 今後、銀行口座まで個人番号が必要になってくるときが来るかもしれません。痛くもない腹を探られるのは我慢できないと言う人も多くいますがこのような場合を想像してみてください。

…ご主人が突然の事故で亡くなってしまいました。彼は転勤族で日本国中に単身赴任を繰り返していました。各地でどのような通帳を作ったのか奥さんには見当もつきませんが個人番号(個人番号は亡くなった後も有効です)のお蔭で全ての預金を把握でき現金化できました…

 これらのことは直ぐには実現できないと思いますが、利用の仕方を間違えなければ個人番号は私たちの暮らしに役立つはずです。ITを積極的に活用し、安全性をしっかり確認しながら便利で豊かな暮らしを支えられる番号制度になるよう期待します。

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