所長からのメッセージ バックナンバー 2014年

消費税10%と軽減税率(第58号 2014.9.20発行)

消費税率が5%から8%に引き上げられてから5ヶ月が経過しました。増税後の反動もあり4-6月期のGDP(国内総生産)速報値は、年率換算で6.8%減と東日本大震災時の平成23年1―3月期の6.9%に次ぐ落ち込みとなってしまいました。政府は織り込み済みとしていますが、想定外の落ち込みだったとする経済専門家も少なくありません。百貨店各社は6月ごろには消費税増税前の駆け込み需要の反動減が解消し、7月にはプラスに転じる予測をしていましたが、消費の回復は強くなく、7月の売上高は既存店ベースで前年同月比2.5%減となり、5月・6月に比べても下げ幅が拡大してしまいました。
個人消費は夏のボーナス増を背景に、上向くと思われていましたが、台風に伴う豪雨災害などの異常気象も影響し商業施設や観光地の入り込みが不足するなど回復が遅れています。4月からの消費税の増税に加えて、円安を背景にガソリン代や日用品の値上げもあり、家計の負担も増しています。このまま賃金水準が負担増に追いつかなければ、消費者の生活防衛意識は強まり、個人消費主導で景気を持ち直す思惑は外れ、政府の消費税率を10%に引き上げる判断は難しくなるでしょう。
消費税率10%の問題はこのほかにもあります。軽減税率の問題です。政府は消費税率10%時(導入時ではない)に軽減税率を検討するとしています。自民党と公明党による与党税制協議会は6月に軽減税率の対象品目として全ての飲食料品を対象とするから始まり精米のみが対象となるまでの8品目を掲げました。又、軽減税率を導入すると各税率毎の区分経理が必要となるため、請求書等の保存を含む4つの仕組み案を提案しました。

対象品目に該当するか否かの判断、区分経理の導入と、事業者は軽減税率の導入に伴い大幅な事務負担を求められます。中小企業者は4月の増税時に転嫁の問題に悩まされ、今度は事務負担で苦労が増します。政府の思いやりのある柔軟な対応を期待します。

消費税引き上げの影響(第57号 2014.5.20発行)

4月1日から消費税が引上げられ1ヶ月が経過しました。各シンクタンクから5月に入り26年4月分の消費税増税の各業界への影響が発表されました。それによると、大手百貨店が約8%から15%、家電量販店では10%から20%の売上が減少、新車販売も前年同月比5.5%減と高額商品を中心として増税前の駆け込み購入の反動があらわれました。一方、ロイヤルホストやモスバーバーなどの外食産業や東京ディズニーランドなどのレジャー産業では売上や入場者数を増やしたりする企業もありました。先日のニュースでは、売上を減らしたデパートにあっても男性用のクールビズ商品に工夫を凝らし、従来の地味なシャツに替え明るい大胆な柄のものを売り出したところ、売上は減少せずに済んだという報告もありました。外食産業では少し高い食材を使って価格を上げたメニューを提供し消費者の心をつかんだ結果、売上の増加につながった企業があるそうです。クールビズ商品にしても、高い食材を使ったメニューにしても、消費者に多様な選択肢を提供し購買意欲を刺激した企業は好調な売上を維持しています。
本来、消費税は企業の財布にとって中立です。仕入れ等で支払った消費税は売上にかかる消費税から控除され納税するので税率の大小に関係なく企業の手取りは一定なのですが、売上に消費税を転嫁出来なくなったとき(値引きしたとき)に資金繰りを悪化させてしまうことになります。直接消費者に関わらない下請け企業にとって消費税をきちっと転嫁(値引き要請されない)する秘訣の一つは、先のクールビス商品や高い食材を使ったメニューにありそうです。自社の製品やサービスに創意工夫を加え得意先に多様な選択肢を提供したり、かけがえのない価値を持てば価格競争力は向上し選ばれる企業になるはずです。

自宅近くの日帰り入浴施設の入浴料金が4月から450円が480円に値上がりしました。サービスも施設も変化はありません。入浴客が減らなければ良いのですが?

春よ来い(第56号 2014.1.20発行)

政府は昨年の12月24日に平成26年度予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は95兆8千億円余の大型予算です。安倍政権が誕生してから1年が経過し、アベノミクスの効果が大企業や一部の中小企業に出始めましたが、地方の中小企業の大部分はその恩恵に浴するまでは至っていません。消費増税による景気の落ち込みを和らげるために、公共事業などの企業向け景気対策を手厚くしているのが特徴の予算案です。アベノミクスの第二の矢である財政政策が短期的な効果を上げる期待が膨らみますが家計は、4月から消費税率が5%から8%へ引き上げ、9月からは厚生年金保険料率の引き上げ、新70歳の医療費の窓口負担が1割から2割へ引き上げと負担が増すことになります。企業主導の経済再生が家計に賃金アップという形で波及するか、政府は十分な監視が必要です。
識者の中には従来型の公共事業など不要不急の歳出が多く財政健全化が遠のくのではないかと心配する向きもありますが、先ずは目先の景気、特に地方の中小零細企業が胸を張って活躍できる環境を政府が責任を持ってつくってもらうことだと思います。太陽と北風のたとえ話ではありませんが、北風(緊縮財政)が吹けば吹くほど旅人はコートの襟を閉じ身を固くしてしまいます。太陽(大型予算)に暖められた身体は活動的になり、自らコートを脱ぎ捨て身軽な旅を続けられるのです。
金融機関も動き始めました。ほんの少し前までは、赤字でリスケを実施している企業への新規貸し出しは一部の例外を除いて思いも寄りませんでした。現在では、たとえ赤字であっても、債務超過で貸出条件を変更して返済元金をストップしている企業であっても、収益を増進させる設備資金や実効性のある経営計画に基づいた運転資金にも積極的に対応するようになってきました。
真面目にコツコツやってきた企業が馬鹿を見ることがあってはなりません。政府の力、金融機関の応援で春は近くなってきています。
春よ来い!!

バックナンバーはこちら
佐々木会計事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

関東信越税理士会所属

お気軽にお問合せください。
佐々木会計事務所
TEL:0263-82-8210
ssk@sasakikaikei.co.jp